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Archive for 11月, 2011

ミッション8ミニッツ物理化学と脳科学の多元宇宙論

木曜日, 11月 10th, 2011

ミッション8ミニッツ映画は、あのデビットボーイの息子のダンカン・ジョーンズ監督の作品です。繰り返す事象がとても気持ちよくなっているのが印象的で、このデジャヴのように何度も同じ場面を行き来する映画は見ていてどんどんその世界に入り込んでいく面白さがある。ラン・ローラ・ランや映画デジャヴのように徐々に変化する情景を刻銘に大スクリーンの迫力で迫ってくるのは感覚が麻痺してくるような臨場感があります。

得てしてこの手の映画は好みが別れるところではあるが、個人的には大好きで、映画キューブのような同じセットで永遠と繰り広げられる映画には、次の展開を想像するという思考回路の転換も面白いですし、ただのドハデはアクション映画よりも何か奥行きを感じることがある。ストーリーとしては単に繰り返すので把握しやすいというのが一番であるが、その世界観の統一はある意味永遠の宇宙のように謎めいていて観ている者を翻弄するのである。

ブレアウィッチプロジェクトのような個人レベルの撮影でも可能ではありそうなこの映画手法は今でもまだまだやり方や見せ方はある訳で、2時間のスケールでも十分に楽しめる要素が詰まっていると感じる。今回のダンカン・ジョーンズ監督のミッション8ミニッツは、体が死んでからも脳は8分間は生き続けるという科学的な側面や、今ままで人間が感じることができた4次元(場所と時間)の時間軸が実はもう1軸あるのではという多元宇宙論への物理化学的なアンチテーゼも覗える科学的な映画の内容とはなっていた。

あのような脳だけを使った実験はそう遠くない将来に実現可能なものであるし、それが平然とビジネスとして使われているという社会も決して来ないとも言えない。走馬灯のような映像が何回も流れるが、これも脳の神経回路の問題で誰でも引き起こすことができるので、この実験のような試みが本当に行われているということへの脳科学の進展へのオマージュでもあるだろう。こういった最先端技術や脳を題材とした映画は観ていて面白いが、あのカプセルのような密室空間はちょっと想像力が欠けているとも言える舞台セットでもあった。